脂質は炭水化物、たんぱく質と並ぶ三大栄養素のひとつです。
体内でエネルギー源として、あるいは細胞膜を構成する成分や生理活性物質として働いています。生体成分のうち、水に溶けない物質を脂質といい、体内では水分の次に多く含まれています。
食物から体内に取り入れた脂質は、主に小腸で消化されます。脂質の種類ごとに複雑な過程を経て取り込まれ、効率の良いエネルギー源として使われるほか、各種生理活性物質の原料となるなどさまざまな役割を果たしています。 余った脂質は、中性脂肪として体内に蓄えられますが、多く摂り過ぎれば肥満を招き、生活習 慣病の原因となります。
※厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイトを編集して作成
脂質には「常温で液体の油」と「常温で個体の脂」がありこれをまとめて油脂と呼んでいます。私たちが摂取する脂質の多くがグリセリンに3つの脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールです。 用いられる状況に応じて、トリグリセリド、中性脂肪と呼ばれることもあります。
油脂にはいろいろな種類の脂肪酸があります。
飽和・不飽和による分類
脂肪酸の長さによる分類
◆ 短鎖脂肪酸(炭素数2、4、6)
◆ 中鎖脂肪酸(炭素数8、10)
◆ 長鎖脂肪酸(炭素数12以上)
脂肪酸の分類
Medium-Chain Triacylglycerolsの略。対して、 通常の油脂(長鎖脂肪酸) は、LCT(Long-Chain Triacylglycerols)と呼びます。
中鎖脂肪酸のイメージ図
長鎖脂肪酸のイメージ図(炭素数18個ステアリン酸の例)
消化・吸収されやすい!
(1)中鎖脂肪酸は、リパーゼで分解され易く食物中の中鎖脂肪酸は胃の中でほとんどが脂肪酸とグリセリンに分解された状態になる。
(2)中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸と異なり完全に脂肪酸とグリセリンに分解される。
(3)中鎖脂肪酸は、大部分が小腸絨毛の血管から吸収され、門脈を通じて肝臓へと運ばれ、すぐに
エネルギー化される。そのため体脂肪としても蓄積されにくい。
長鎖脂肪酸はリンパ管経由で吸収され、鎖骨下静脈から血管内に入り、それから全身へと運ばれる。
エネルギーになりやすい!
中鎖脂肪酸は、L-カルニチンが無くてもミトコンドリア膜を通過できる。
中鎖脂肪酸を含む一般食品としては
・母乳(脂肪分 … 約3%)
・牛乳、乳製品 (脂肪分 … 3〜5%)
・ヤシ油、パーム核油 (脂肪分 … 7〜14%)があります。
※発煙点(油脂を加熱していくときに煙が発生する温度のこと)が低く、調理油としては使用できない。
※通常調理に使用する植物油で220〜250℃、MCTは150℃弱。加熱すると煙がでたり、揚げ物をすると泡立ってしまいます。
※プラスチックなどの容器が、劣化や溶解するおそれがある。
※多量に摂取すると、胃のムカつきや下痢などを起こす場合がある。